先週24日に、英国の一流新聞として知られるガーディアン紙(The Manchester Guardian)がその記者の一人、ロイド・パリー(Richard Lloyd Parry)の筆になる「波の下に沈んだ学校:日本の津波の想像を絶する悲劇」(The school beneath wave: the unimaginable tragedy of Japan's tsunami)と題する記事を掲載しました。記者は宮城県石巻市釜谷にある市立大川小学校の犠牲者の遺族や関係者にも過去何年にもわたって度々会って話を詳しく聞いてこの長い記事をまとめたものです。
津波が襲った時、小学校の校庭には先生たち十一人と生徒七十八人がいたそうですが、学校の裏にある高い丘に避難する代わりに、低地に向かったために津波にもろにぶつかり、先生十人、生徒七十四人が死亡という大惨事に至りました。東北地方には他にも津波に襲われた学校があったのに、他のところではたった一人の生徒が犠牲になった、これは広く知られている事実です。昨年10月26日、仙台地裁は、遺族の親たちが、避難のための適切な措置が取られなかったとして、宮城県と石巻市に損害賠償を求めて訴訟を起こしたことを受けて、原告の主張を認めて、県と市に総額14億3000万円の賠償金の支払いを命じました。
裁判に先立つ調査や、公聴会でも、哀悼の意は表されたものの、誰一人として自分の過失を認め、非を悔いて、遺族に謝罪するということは一切ありませんでした。校長を含む学校側も、市の教育委員会、県の担当者、誰一人として責任を認めなかったというのです。責任の所在を明確にせず、うやむやにして済ませ、責任者の名を正式に公表するということをせず、金で問題を片付けようとしたわけです。
一昨年12月28日に日韓の間で合意された慰安婦問題の処理も同じです。加害者の日本側からのきちんとした、公式の謝罪はありませんでした。その時の共同声明の中で安倍首相は「心からおわびと反省の気持ちを表明する」とありますが、なんとなく空々しく聞こえてしようがありません。本気ならば、数ヶ月前に時の朴大統領と会うためにソウルを訪問した際に、まだ生きておられる犠牲者に会ってちゃんと謝り、日本大使館の真向かいに立っている慰安婦像の前にぬかずくこともできたはずです。また、犠牲者が他界された時には、遺族の反対がない限り、ソウルの日本大使がその葬儀に出席するよう配慮することもできるはずです。日本側からお渡しした10億円は小銭ではないから、今後この件については一切問題にしないようしてもらいたいという姿勢でした。日本政府が本当に謝罪するつもりならば、国会決議で慰安婦制度の不正、罪悪性を明確に認め、謝罪の言葉を入れるのがすじではないでしょうか。
太平洋戦争中、在留日系人12万人余りが敵性国人として米国各地の強制抑留所に閉じ込められ過酷な生活を強いられましたが、1988年、ドナルド・レーガン大統領の時、米国議会はこれが非人間的な人種差別政策であったことを認め、全員に一人2万ドルずつを賠償金として支払い、レーガン大統領が自ら署名した謝罪の手紙を一人一人に送った、と言われていますが、ここで日米の違いはあまりにも際立っています。
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